喫茶店のマスターのプロレス昔ばなし。

50歳を越えた「マニア」まではいかないプロレスファン(特に馬場全日本)の気楽な昔ばなし。話し相手募集中です。

やっぱり馬場は、強いのう。

私がジャイアント馬場のファンになったのは

小学校の低学年の頃でした。

しかし、その当時の馬場選手は既に「強さ」を感じさせるレスラーではありませんでした。いや、それどころか世間からは

  「弱い」  「鈍い」  「衰えた」  「引退目前」など、散々なイメージで見られていました。


確かに体つきも、腕は細くてアバラも浮き出てお爺さんみたいな感じです。


技も多彩ではなく、チョップとキック、河津落とし位しか出しません。


(後に、別冊ゴング誌上で

 「ジャイアント馬場、必殺技50 選」

という企画を目にして

  「50 も技があるわけない!」

と思いながらページをめくると、ボディスラムやアトミックドロップの写真が出てきて、

  「できるのかよ!!」

と、驚いたものでした)


しかし、私は子ども心に「引退しないで欲しい!」「まだまだ強いはず!」

と、ジャイアント馬場から、目が離せませんでした。


すると、親やまわりの友達は

  「えっ!?馬場が好きなの!?」

  「どこが良いんだ!?」

  「ギャグだろ!?」


と、からかってくる訳です。

 そうするとコッチも意地になって

ますます馬場を応援したくなる、という悪循環(?)


そうしたある日、祖父と一緒にテレビで全日本プロレス中継を見る機会がありました。


祖父は八十才手前で一日の大半は自分の部屋で寝ていましたが、私は優しい祖父が大好きで、良く部屋に遊びに行っては布団に潜り込んで、枕元のテレビを見ていました。

そこで丁度プロレス中継が、始まった訳です。

ブラウン管の中では馬場選手が、名前も知らない様な二流の外人レスラーとシングルマッチで闘っていましたが、馬場ファンの自分が見ても、お世辞にもおもしろい試合ではありませんでした。

ぽん、ぽんとチョップを打ちこんで、最後は十六文一発でフォール勝ち

という、何て事はない試合でした。


  ( 続きます)

「あっ!あぶない!!」(2)

確かに、私の大好きな全日本プロレスの 四天王時代 にも、危険な技が沢山飛び出しました。

しかし、プロレスの技とは、相手を倒して勝利を掴みとるために繰り出すもの! プロレスは真剣勝負! と信じて疑わなかった当時の私たちプロレスファンは(今でも信じているけど)

ああ、ここまでやらないと勝負は決まらないんだ、と選手の体を心配しつつも、納得して応援していました。


実際、三沢選手も

  川田選手とのシングルマッチで命を削るような攻防を繰り返し、えげつない技でトドメを差し、試合後のインタビューでアナウンサーから

大変な試合でしたが!?

と問われた時、

「アイツは強かった、こうでもしないと何度でも立ち上がって向かって来ただろう。こうするしかなかった.....悲しい.......」と、今にも泣きそうな顔をして答えていました。


そうやって「プロレス真剣勝負」の幻想を守っていたのか、

それとも、本当に真剣勝負だったのか.............


私はその三沢選手の言葉を聞いて泣きそうになっていました。


しかし、現在のプロレスファンの多くの人は、レスラーがその様な発言をしても、「しらじらしいなあ」

  「あんたが勝つブックなんだろ」

と、思うのではないでしょうか?


そんな時代に勝利を掴みとる為でなく、会場を沸かす為だけに危険な技を仕掛けあわないといけない、未来のある若いレスラーたちを見ていると、

天国の小鉄さんと一緒に


  「あっ!あぶない!!」

 と、叫びたくなるのです。

「あっ!あぶない!!」(1)

昨日、息子と二人で新日本プロレスの配信サービスの「タイガーマスクVSオスプレイ」

を観戦していると、タイガーのツームストン.パイルドライバーを食らったオスプレイが場外に転げ落ち、タダゴトではない表情で「グァー!!」と唸ってしまいました。

 「あっ!あぶないな!」

と思いましたが、試合はそのまま続行。しきりに首を押さえて苦しそうに試合を続けるオスプレイ、ついには串刺し攻撃を狙って対角線のコーナーポストに自ら走って背中をぶつけた瞬間、悲鳴をあげてうずくまる事態に。

これを見たプロレスファン歴2年の息子も

 「お父さん!こらイカンろう!?」

と、オスプレイのことを心配して大声をだしました。

タイガーもやりにくそうです。しきりにレフェリーにチェックを促します。


「レフェリー、試合を止めてくれ!」


そう願いましたが、オスプレイ本人が「やれる」と、意思表示したのでしょう

そのまま二人の攻防は続けられ最後は、やや唐突にオスプレイの必殺技が決まりフィニッシュ。

試合は終わりましたが、勝った方のオスプレイは首を押さえて、いつまでも立ち上がる事が出来ません。


うーん......「スーパーjr」の公式戦だったので、星勘定の事を考えてオスプレイに負けさせる事は出来なかった...............訳ではないだろうけど、

もし大きな事故にでもなったら「スーパーJr 」どころではなくなります。


昭和の新日本プロレスでは、危険な技が繰り出され、レスラーが受け身をとりそこなったり、変な形でダウンしたりすると、放送席の山本小鉄さんが

  「あぶない!!」と叫び

時には「ちょっと待ってください!」

と言い残し解説を、ほっぽりだして

リングに飛び込むこともありました。


現在、小鉄さんがご存命ならば、毎試合   「あっ!あぶない!!」と

叫ぶのではないでしょうか?

リングの安全性がアップし、レスラーも小型化した現代プロレスではありますが、仕掛ける技のえげつなさは格段にアップしています。


そこで、五十才を越えたオールド.ファンの私から若い、現在のプロレスブームを支えてくれているファンの皆さんに、どうしても教えて欲しい質問があります。


目を覆うような、レスラーの未来をも奪いかねない危険な技が必要ですか?


だって、あなたたちは、私の若い頃と違ってプロレスの仕組みを、知っているのでしょう?

ほとんどの人がプロレスは、ガチだとは思っていないんでしょう?


だったらW WEのように、頭から落とす投げ技を禁じ手にして、加減のしやすい「スタナー」や「ロックボトム」

「コード.ブレイカー」等を大事に使って行けば良いんじゃないのですか?


レスラーの方たちにも聞きたい。

ファンの大半が

「どっちが勝つかは、会社の都合で

 最初から決められている」


と思っている、プロレスは真剣勝負だと言う人がアホ呼ばわりされる今の時代に、何故そうも危険をかえりみない試合を繰り返すのですか?


これでは、人間が落ちてはいけない角度で頭から突っ込んでいく残酷ショーにプロレスがなってしまいます。


(次回に続きます)



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