やっぱり馬場は、強いのう。(2 )
私は、その馬場選手の(何て事はない)試合を見て、恥ずかしくなりました。
いつもなら、馬場選手が出てくるだけで、十六文が飛び出すだけで大満足な私でしたが、今日は祖父と一緒に見ているのです。
...大好きなお爺ちゃんに
面白くないと、言われたらどうしよう?!.......
「こんな馬場が、好きなのかね?」と言われたらどうしよう?!......
と、ドキドキしてしまったのです。
すると祖父は、関心したような表情で
ポツリと一言、
「やっぱり、馬場は強いのう!」
と、言ってくれたのです。
お年寄りにも、分かりやすい良い試合を馬場選手がしてくれたのか、馬場大好きな私の事を、思ってくれての言葉だったのか.............今となっては確かめられませんが、とにかく私は馬場選手の事も、祖父の事も、この日を境に
ますます好きになり、神様に、自分の寿命を十年縮めて良いので、祖父と馬場選手を五年づつ長生きさせてあげてください、とお願いするようになりました。
そんな大好きだった祖父も、しばらく後に足の付け根を骨折して入院してしまい、二度とこの部屋に帰って来ることはありませんでした。
馬場選手の方は、噂されていた引退などせず、還暦を過ぎても闘い続けてくれました。
私は馬場選手に、祖父の面影を重ねて
応援し続けたのだと思います。
そして、今でもYouTube等で馬場選手のファイトを見ると、子どもの頃のピュアな心を思いだし、優しい気持ちになれるのです。